
経営者として感じた違和感
こんにちは、下町ロケッターマサです。
私は製造業で会社を経営しており、社員と一緒に日々現場で汗を流しています。
そんな私のもとにも、ある日こんなメールが届きました。
「おめでとうございます!あなたは100ビットコインに当選しました!」
最初に思ったのは、「ずいぶん景気のいい話だな」という苦笑い。
しかし、経営の世界で何十年もやっていると
「うまい話ほど危険」という感覚が自然と身についています。
今回の記事では、私が感じた違和感を出発点に
この“100ビットコイン当選詐欺”のビジネス的な裏構造を解説していきます。
「100ビットコイン=約10億円」──冷静に考えればおかしい話
現在、ビットコインは1枚およそ1,000万円前後。
つまり、100ビットコインとは約10億円です。
10億円といえば、私たち中小企業が何年もかけてようやく積み上げる利益に匹敵します。
そんな金額を“見知らぬ誰かに”プレゼントする会社が存在するはずがありません。
にもかかわらず、この詐欺は今でも多くの人を騙しています。
それは、人の心理を巧妙についた仕掛けになっているからです。
「無料」「当選」「限定」──3つの魔法の言葉
この詐欺が使うキーワードには、共通点があります。
- 無料で受け取れる
- 当選者限定
- 今すぐ手続き
これらは、経営でも使われるマーケティング心理を悪用した“誘導装置”です。
「無料」という言葉でハードルを下げ
「限定」で競争意識を煽り
「今すぐ」で冷静な判断を奪う。
まるで巧妙な営業トークのように
人の思考を停止させる流れができているのです。
実際の手口と“金の流れ”
100ビットコイン当選詐欺の流れを整理すると、こうなります。
1️⃣ 当選通知を送り、特設サイトやLINE登録に誘導
2️⃣ 「本人確認」「送金システム手数料」などの名目で入金を要求
3️⃣ その後、「確認中」「承認待ち」などと言いながら、次の請求へ
4️⃣ 支払っても連絡が途絶え、最終的に音信不通
要は、“無料プレゼント”を装って、少額の送金を積み重ねさせるビジネスモデルです。
最初は数千円から始まり
「ここまで来たらもう少しで受け取れる」と思わせる心理を利用して
被害額が数十万円単位に膨らんでいく。
まるで“悪質なサブスク”のように、止めるタイミングを失わせる仕組みなんです。
「当選詐欺」の裏にある“情報商材ビジネス”
私が調べたところ、この「100ビットコイン当選」から派生した案件には
高額情報商材や投資塾への誘導が多く見られます。
つまり最終目的は、金銭の直接詐取だけではなく
“別の詐欺ビジネスへつなげる”こと。
被害者の連絡先はリスト化され、他の業者に転売されます。
そして次に届くのは、こんなメッセージ。
「先日のキャンペーンに参加された方限定で、
仮想通貨投資の特別講座をご案内します。」
こうして、“当選詐欺→教育系詐欺→投資詐欺”と続く三段構えの流れが完成します。
なぜ人は、何度も騙されるのか?

私はこれまで副業案件に何百万円も投じてきました。
痛い思いをして分かったのは
詐欺は人の「不安」と「希望」の両方につけ込むということです。
- 仕事が減って将来が不安
- 家族を守るために収入を増やしたい
- でも、自分には何ができるか分からない
こうした“心のスキマ”に、詐欺はすっと入り込む。
しかも彼らは、相手の立場に共感するふりをするのが上手い。
「あなたのように真面目な方にこそチャンスを掴んでほしい」
そんな言葉を信じてしまうのは、決して愚かなことではありません。
誰でも、希望を持ちたい瞬間がある。
だからこそ、自分を責める必要はないのです。
経営の現場から見た「詐欺の構造」
経営者の視点で見ると、この手の詐欺は“完璧な仕組みビジネス”です。
- 顧客獲得(広告・SNS)
- 信頼構築(偽ブランド演出)
- 課金導線(分割・継続課金)
まるで、売上管理やCRM(顧客管理システム)のように緻密に設計されています。
被害者を「顧客データ」として扱う点に、私は背筋が寒くなりました。
つまり、これは単なる詐欺ではなく
悪意を持ったマーケティングの完成形なんです。
私が社員にいつも言うこと
私は社員にも常にこう話しています。
「数字の裏に“人の感情”があることを忘れるな。」
たとえ利益が出ても、誰かが泣いているなら、それは正しい商売ではない。
この“100ビットコイン当選”は、まさにその逆。
人の夢や不安を搾取して成立している、最悪のビジネスです。
もし被害に遭ってしまったら
被害に遭った場合は、すぐに行動することが大切です。
- 警察のサイバー犯罪窓口に相談
- 消費者ホットライン(188)へ通報
- 支払い履歴ややり取りのスクリーンショットを保存
そして何より、“もう取り返せない”と思わないこと。
私も過去にお金を失いましたが、行動すれば少しずつ取り戻せます。
失敗を経験したからこそ、次に誰かを守る側になれる。
それが、人生の再スタートです。
結局、「地に足のついた副業」しか残らない
副業を10年以上見てきて思うのは
「派手な話よりも、地味で継続できるものが一番強い」ということです。
100ビットコインなんていう夢のような話より
月3万円を堅実に積み上げる方がよほど現実的。
結局、努力と時間をかけたものだけが残る。
それは製造業でも副業でも同じです。
私たちの仕事は、地味だけど確実に形になる。
詐欺とは正反対の世界です。
欲より信頼を積み上げよう

「100ビットコイン当選」という言葉は
人の“欲望”を利用して心を奪う危険な毒です。
でも、逆に言えばそれは、私たちに“正しい価値観を取り戻すチャンス”でもあります。
- 簡単に稼げる話は疑う
- 人の信頼を積み上げる方が長く続く
- 一歩ずつでも、自分で稼ぐ力を磨く
この3つを意識すれば、もう二度と騙されることはありません。
👤 執筆:下町ロケッターマサ
「機械も人も、整備が大事。
欲を制御できる人間こそ、本物の職人だ。」