🏭 経営者として感じた“違和感”

私は製造業を営む61歳。
アルミ加工を主軸に、45名の社員・派遣スタッフとともに現場を動かしています。
一見すれば「安定した社長業」に見えるかもしれませんが、私もこれまで副業や投資で何度も失敗してきた人間です。中でも痛かったのは、SNS広告で見かけた“夢のような副業案件”に何十万円もつぎ込んでしまったこと。
最近また似た匂いを感じたのが――
「ふくえんち副業」という名前のビジネスです。
「無料で始められる」「スマホだけで毎日収入」
そんな言葉を見た瞬間、私の中の“警鐘”が鳴りました。
経営をやってきた人間として、
「儲かる仕組み」を冷静に見抜かねばならない。
今回は、経営者の視点からこの“ふくえんち副業”を徹底的に分析してみました。
💡 「無料で稼げる」のカラクリ
まずは広告。ふくえんちの宣伝は、どれも似たパターンです。
「放置で月10万円」
「誰でもできる、たった10分の副業」
「登録無料・リスクなし!」
こうしたキャッチコピーの目的はただ一つ。
「心理的なハードルを下げる」こと。
クリックするとLINE登録へ誘導され、すぐに自動メッセージが届きます。
最初は親しげなトーンで
「あなたの頑張りを応援します!」
「一緒に稼ぎましょう!」
この時点で、多くの人が安心してしまうのです。
しかし、そこが“ふくえんち”の第一のトラップ。
⚙ ふくえんちの“仕組み”を分解してみた
経営者として物事を見れば、ビジネスの目的は「収益構造」にあるとわかります。
ふくえんち副業の構造を分解すると、次のような流れになります。
- SNSや動画広告で「無料副業」を宣伝
- 興味を持った人をLINE登録へ誘導
- 自動返信で信頼感を醸成
- 数日後に“特別プラン”を案内
- 有料コース(3〜20万円)を販売
つまり、「無料」は“販売の入口”に過ぎない。
さらに驚くのは、有料プランの内容。
多くは“教材”や“サポートコミュニティ”という形を取っていますが、実態はテンプレート化された作業マニュアルです。そして、その中身の中心は――
「他の人にふくえんちを紹介して報酬を得る」仕組み。
それを“副業”と呼んでいいのか、私は疑問を感じざるを得ませんでした。
🧠 「集客型マルチ構造」という現実
ふくえんちは、表向きは「誰でもできる副業」。
しかし実態は、新規登録者を増やすことで利益が回る“循環型ビジネス”です。
下層に入った人が「登録者を増やす」ことでようやく報酬が発生。
つまり、ピラミッド的な構造を持っています。
経営者として見れば、このモデルは一見効率的。
ただし、“永続性がない”。
- 新規が止まれば報酬も止まる
- サポートは自動化され、個別対応は皆無
- 実働ではなく「販売人数」に依存
これは“副業”ではなく、“広告システムの一部”にすぎません。
💬 実際に登録した人たちの声

調査してみると、ネット上では賛否両論。
ポジティブな声としては
「最初の1ヶ月で2万円稼げた」
「サポートが丁寧だった」
しかし、それらの投稿の多くには紹介リンクが貼られています。
つまり、“宣伝者側の意見”です。
一方、ネガティブな声は現実的です。
- 「支払い後、何も始まらなかった」
- 「問い合わせても返事が来ない」
- 「稼げずに追加プランをすすめられた」
こうした口コミが散見されます。
広告では“成功例”を誇張し、
現実の失敗例は“自己責任”として処理する。
この構造が、最も厄介な部分です。
🪤 心理的トリガーの巧妙な使い方
経営者の立場で言えば、ふくえんちの販売戦略は非常に優秀です。
しかし、倫理的にはグレー。
なぜなら、購買心理を巧みに利用しているからです。使われているトリガーは以下の通り。
- 「限定」:残り◯名、今だけ
- 「権威」:成功者インタビュー動画
- 「共感」:主婦やサラリーマンの体験談
- 「恐怖」:今行動しないと損をする
これらを組み合わせることで、購入者は“自分の意思で決断した”と錯覚してしまう。
私自身、過去に同じ手口で数十万円を支払った経験があります。
人は「希望」ではなく、「不安」で動かされる。
その真理を突いているのが、ふくえんちの真骨頂です。
💬 詐欺ではない。しかし「善意の皮を被った収奪」
ふくえんちは、法的には詐欺ではありません。
理由は簡単。
「稼げるとは言っていない」からです。
販売側は常に逃げ道を残しています。
「努力次第です」
「個人差があります」
「再現性は保証できません」
この文言を入れるだけで、責任を免れることができる。
結果、“被害者は多いのに、訴えは成立しにくい”のです。
経営的に見れば非常に巧妙。
倫理的に見れば、限りなくブラック。
💪 私が学んだ「本物の副業の条件」
ここまで失敗を重ねてきた中で、私は3つのことを学びました。
✅ 「無料」よりも「価値」を見ろ。
本当に稼げる仕組みは、無料では成立しない。
✅ 「誰でもできる」より「誰が続けているか」を見ろ。
地道に続ける人ほど、着実に結果を出す。
✅ 「すぐに」より「積み上がる」ものを選べ。
一発逆転はなくても、継続には確実な成長がある。
この3つを守れば、ほとんどの副業詐欺を回避できます。
🔧 地に足をつけた“本業型副業”のすすめ
私は今、製造業という本業を軸にしながら
Webライティングと中小企業向けコンサルで副収入を得ています。
1日1〜2時間、地道な積み上げ。
決して派手ではありませんが、再現性は100%です。
結局のところ、成功とは“継続できる形を見つけること”。
ふくえんちのような「外側に依存する稼ぎ方」ではなく
自分の経験・スキルを生かす方向にシフトするのが最も堅実です。
✨ 派手さより、確実な一歩を

ふくえんち副業は、希望を見せてくれるようでいて
実際は“消耗”を生むビジネスです。
私自身、何度も失敗してようやく分かりました。
「稼ぐ」よりも先に、「失わない仕組み」を作る。
それが本物の副業の第一歩。
経営も副業も、結局は同じです。
派手な言葉よりも、確実な実践。
焦らず、自分のリズムで動けば、人生は必ず立て直せます。
📘 執筆:下町ロケッターマサ
「経営も副業も、結局“地道な積み重ね”でしか勝てない。
それを知っているからこそ、派手な言葉にはもう騙されない。」